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TBS『NEWS23』でコメントしました(10月13日)

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豊洲市場の汚染問題について、「調査⇒対策」という流れの中で、対策の前提となる「調査」を行っていなかった問題です。土壌汚染対策法についてコメントしました。

 
【豊洲市場「ベンゼン」汚染、298地点で本格的調査せず】(TBS NEWSiより)
豊洲新市場の問題、13日も市場長の事実上の更迭が固まるなど、様々な動きがありましたが、NEWS23の調べで、新たな事実が浮かび上がりました。地下水のベンゼンによる汚染の問題です。
東京都は、土壌の改良を行う前に、予備的な調査を行っていましたが、その予備的な調査で地下水の汚染が確認されたにも関わらず、その後、本格的な調査を行っていなかった地点が、298か所にも及ぶことがわかりました。うち1か所からは、先月になって、地下水から基準を上回るベンゼンが検出されました。こうした地点には、まだ汚染が隠されている可能性があると専門家は指摘しています。
そもそも東京都は土壌汚染対策に当たり、豊洲市場を4000あまりの地点に分けて調査を行いました。調査には2段階あり、まず、概況調査として地下水と土壌の汚染を調べます。今の土壌汚染対策法では、地下水と土壌のいずれかで汚染が確認された場合、より詳しく調べるため、底面調査が必要になります。底面調査とは、地中深くにある地下水を通しにくい層のすぐ上を調査すること。そこには汚染物質がたまりやすいのです。
ところが東京都は、地下水が汚染されていても土壌調査でベンゼンが基準値を超えなかった地点については、底面調査を行っていなかったことがわかりました。NEWS23の調べでは、こうした箇所は298地点に及びます。
「ベンゼンのような物質は下の方に沈みやすいので、そこを調査しなさいというのが新しく改正土壌汚染対策法で付け加わった。それを調査するべきだったのにしなかった」(汚染問題を調べている水谷和子1級建築士)
汚染が見つかりやすいという底面調査。なぜ都は底面調査を行わなかったのでしょうか。
「かなり膨大な費用と期間が必要になったんだろうと思います。それをなんとか小さくしたかった という意図だと思います」(汚染問題を調べている水谷和子1級建築士)
これら298地点のうち、1地点が、先月、基準値を超えるベンゼンが検出された地点と重なります。ここは、最初の概況調査でベンゼンではなく、高濃度のシアン化合物が検出されたことなどから、都は定点観測するための井戸を掘っていました。今回、そこからベンゼンが検出されたのです。しかし、298地点のうち井戸があるのはベンゼンが検出された地点を含め、23地点にすぎず、それ以外の275地点については、現時点では地下水の汚染を調べることはできません。
豊洲市場の土壌汚染対策に関する協議会メンバーを務める富山大の丸茂教授は・・・
「たまたま今回シアンを調べる井戸でベンゼンが見つかったということは、調べれば調べるほど、今まで以上に詳細に調べると、ベンゼンやシアン化合物の濃度が高い地下水に遭遇する可能性は否定できない」(富山大学大学院 丸茂克美教授)
丸茂教授によると、協議会でも3年前、調査が尽くされていないのではないかと指摘があったと言います。
「第2回の協議会の中で底面調査はどういうものかと、地下の汚染調査が十分でないのではないかと指摘があった」(富山大学大学院 丸茂克美教授)
NEWS23の取材に対し、都は底面調査を行っていない地点があることを認めた上で、「豊洲を調査したのは、土壌汚染対策法が改正され、底面調査が義務づけられる前のこと」とコメントしています。
一方、都が土壌汚染状況をまとめた報告書を出したのは、2011年の8月。法律を所管する環境省は、原則として改正汚染土壌対策法が適用されるとしています。
専門家は・・・
「あくまでも申請された時点が 法改正よりも後という点が重要。都の調査が改正前だから問題ないという主張は法律的な解釈としては間違えているのではないか」(土壌汚染対策法に詳しい大城聡弁護士)
ところが、この法律を運用し、報告書を判断するのは、環境省ではなく東京都。つまり身内同士で判断することになります。
「土壌汚染対策法では都道府県の環境局が所管になるので、東京都の環境局が判断することになる。(底面)調査地点が足りないんじゃないかと指摘しなければいけなかったが、そこができていなかったということになると思います」(土壌汚染対策法に詳しい大城聡弁護士)
豊洲市場の汚染調査は果たして、尽くされたのでしょうか。