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毎日新聞「裁判員4人辞任 被告関係者の声かけで」(6月8日)

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裁判員4人辞任 被告関係者の声かけで

(毎日新聞 2016年6月8日)

特定危険指定暴力団「工藤会」(北九州市)系組幹部(40)が殺人未遂罪などに問われた福岡地裁小倉支部の裁判員裁判(中牟田博章裁判長)を巡り、被告の関係者とみられる男が複数の裁判員に「よろしく」と声をかけていた問題で、同支部が裁判員4人から辞任の申し立てを受けて7日付で解任を決定していたことが分かった。裁判員裁判で過半数の裁判員が辞任するのは極めて異例。同支部は辞任申し立ての理由は明らかにしていない。

同支部は、裁判員6人と補充裁判員2人を選任していたが、4人を解任した後は補充裁判員2人を加えても裁判員は4人しか確保できない。今後の公判の進め方について、同支部は、裁判員を除外して裁判官だけで判決を言い渡す▽裁判員2人を新たに選任して審理し直す▽現在残っている4人も解任し、新たに裁判員を選び直して審理し直す−−などがあるとしている。

被告の弁護士によると、裁判員4人は、声かけの問題が報道された5月30日に辞任を申し立てていた。弁護士は「被告は裁判員との接触について関与していないと話している」とした上で「今後どのように公判を進めるかは裁判所の判断に任せる」とコメントした。

被告は2015年1月、北九州市の自宅で知人男性の背中を日本刀で刺して殺害しようとしたとして、殺人未遂罪などに問われている。関係者によると、5月12日の結審後に同支部から出ようとした裁判員に被告の関係者とみられる男が「よろしく」という趣旨の声をかけたことが明らかになり、同支部は同16日に予定していた判決期日を取り消した。裁判員への請託(依頼)や威迫(脅迫)が理由とみられる判決の延期は全国初で、現在も期日は決まっていない。

裁判員制度の検証や提言をする市民団体「裁判員ネット」代表の大城聡弁護士の話 裁判員に危険が及びかねない事件では、裁判員が安全に帰宅できるようサポートするなど危機管理が重要だ。今回の事件は、そもそも裁判員裁判から除外すべきだったのではないかという検証も必要だろう。今後も裁判員に危害が及ぶ可能性があることを考えれば、裁判員裁判から除外して職業裁判官のみで公判をやり直すことになるのではないか。