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第7回「民泊サービス」のあり方に関する検討会を傍聴しました

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平成28年3月15日、第7回「民泊サービス」のあり方に関する検討会が開催されました。

 

今回は、これまでの検討会での議論をもとにした

『「民泊サービス」のあり方について(中間整理)(案) 』が示され、意見交換が行われました。

 

この中間整理案は、「基本的な視点」として次の3つをあげています。

①衛生管理面、テロ等悪用防止の観点から、宿泊者の把握を含む管理機能が
確保され、安全性が確保されること。
②地域住民とのトラブル防止、宿泊者とのトラブル防止に留意すべきこと。
③観光立国を推進するため、急増する訪日外国人観光客の宿泊需要や、空き
キャパシティの有効活用等地域活性化などの要請に応えること。

また、「民泊サービス」を反復継続して有償で行う場合、我が国
においては旅館業法の許可が必要であるが、旅館業法の許可が必要であるに
もかかわらず、許可を得ずに実施される違法な「民泊サービス」が広がって
おり、それらへの対応も急務であるとの認識を示しています(同案1ページ)。

そのうえで、本来必要な旅館業法の許可を得ていない違法な「民泊サービス」が広がっ
ているため、この状況に早急に対応する必要がある。そのため、現行制度の
枠組みの中で対応できることとして、当面、「民泊サービス」について、簡易
宿所の枠組みを活用し、旅館業法の許可取得を促進すべきであるとしています(同案3ページ)。

旅館業法の簡易宿所の枠組みの活用については、、簡易宿所の客室面積基準を見直し、
宿泊者数が10人未満の場合については、宿泊者一人当たりの面積を3.3
㎡に設定の上、宿泊者数に応じた面積基準(3.3㎡×宿泊者数以上)とすること、
宿泊者の本人確認、緊急時の対応体制など一定の管理体制が確保されるのであれば、
玄関帳場の設置を求めている通知の運用を見直し、玄関帳場の設置を要しないことが具体的に記載されています(同案3ページ)。
中期的な検討課題として、これまで旅館業法上求められてきた許可取得をはじめと
する義務の内容を一律に課すべきかどうかや、仲介事業者や管理事業者等の
関連する事業者に義務を課すべきか等について、現行制度の枠組みにとらわ
れない検討が必要であるとしています(同案5ページ)。

 

仲介事業者に対しては、サービス提供者が適法にサービスを提供している
かどうかの確認を求め、違法なサービスの仲介行為や広告行為を禁止する等
の一定の規制を課す必要があるのではないかと考えられる。その際、海外の
事業者に対する規制の実効性を担保することや、旅行業法との関係を整理す
ることが必要ではないかと考えられるとしています(同案5ページ)。
中間整理案を巡る意見交換では、大きな異論は出ませんでしたが、
「旅館業法の許可に当たり、関係法令だけでなく、賃貸借契約、管理規約(共
同住宅の場合)に反していないことの確認を求めるべきである」(同案3ページ)との点には、
現行法上そのような権限はないのではないかという指摘もありました。

また、中期的な検討課題である現行法を超えた枠組みでも届出ではなく、許可が必要との意見も出ました。
中間整理案に関する意見交換の後は、消防庁から民泊の提供者(ホスト)と利用者(ゲスト)に対する住宅を民泊として活用する場合の防火管理について、
リーフレット案が示されました(資料3 総務省消防庁)。
消防庁は、ひな形をつくって日本語だけではなく、英語、中国語などの外国語版を作成する予定と話しました。

 

次回日程は未定ですが、引き続き中間整理案を検討するとして閉会しました。

中間整理案では、現行法の枠組みによる早急な対策については具体的施策が盛り込まれましたが、
中期的な検討課題については方向性がまだ明確に定まっておらず、これからの議論に注目すべき状況が続いています。

以上

平成28年3月15日