弁護士・大城聡

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『原発避難白書』から見る避難者の現在(12月5日)

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原発事故被害者の救済を求める全国運動主催の集会で特別講演をさせていただきました。

その中で紹介したのが、イェーリングの『権利のための闘争』(岩波文庫)。私が弁護士になるために勉強し始めた時に読んで深く感銘を受けた本です。

 

イェーリング『権利のための闘争』より
「世界中、すべての権利は、闘いとられたものである。権利は、単なる思想ではなく、生き生きした力なのである。だからこそ、片手に権利をはかるための秤を持つ正義の女神は、もう一方の手で権利を貫くための剣(つるぎ)を握っているのだ。秤をともなわない剣は裸の実力を、剣をともなわない秤は権利の無力を意味する。二つの要素が表裏一体をなすべきものであり、正義の女神が剣をとる力と秤をあやつる技とのバランスがとれている場合のみ、完全な権利が実現される」(同書29頁)
権利のために闘うことは自身のみならず社会に対する義務であり、権利をつくり守ることに貢献するのだとイェーリングは述べています。権利のために闘うことは、私利私欲ではなく、将来その権利を享受する他者のためでもあるのだという意味です。
「剣をとる力」と言っても、その闘いは非暴力です。
事実を積み重ねること、当事者が語ること、つながり、支え合うことが、被ばくを避ける権利を実現するための闘い、まさに「権利のための闘争」なのだと思います。