旬報社から『不確実な時代を生きる武器としての憲法入門』が発刊されました。
ーーーーーーーーーーー
本書の【はじめに】より
なぜ憲法を知る必要があるのか。法律を専門にしていない大学一年生に憲法入門の講義をするにあたって自分に問いかけたことです。憲法は私たちが「生きるための武器」となる。憲法入門の講義のコンセプトとなったこの答えが、本書でみなさんに伝えたいことです。
弁護⼠である私の経験も紹介しながら具体的な事例を通して憲法の基本理念や原理を考えていきます。中学校や高校の授業で日本国憲法の前文や国民主権、基本的人権の尊重、平和主義について教えられたことはあると思います。しかし、憲法を学ぶことが生きていくために役に立つということまで考える機会はなかったのではないでしょうか。
この本では①社会の様々な問題を憲法の原理から考える⼒を⾝に付けること、②⾃由、⼈権、平和主義、⽴憲主義など、憲法の基本理念を理解すること、③具体的な事例や時事問題から⽣き⽣きとした憲法の役割を知ること、④社会問題に対して、他⼈事ではなく、主体的に⾃分の問題として考え、行動する主体性を身につけることを目標にしています。
双方向で行っている講義と同じようにこの本の中にも「質問」を設けています。手を動かしてメモをしてもらえると社会の問題を自分の問題として受け止める一助になると思います。
第1章の「自由―憲法の役割」から第14章の「憲法の改正―不磨の大典かアップデートか」までを読むと憲法の全体像を掴むことができます。また、各章の終わりに憲法を考える大切なポイントをまとめています。
幸いにして憲法入門の講義は、昭和薬科大学で担当する第一学年の「ベストティーチャー賞」に2021年度と2023年度の2回選ばれました。講義を受けてくれた大学生のみなさんに励まされる気持ちで本書を執筆してきました。
先の見えない不確実な時代の中、私たちが生きるために憲法がどのように役に立つのか。みなさんと一緒に考えることができればうれしいです。