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新型コロナウイルスの影響で判決期日変更-石原慎太郎元知事の責任を問う住民訴訟(3月19日)

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新型コロナウイルスの影響のため、豊洲市場用地の購入に関する石原元知事の責任を問う住民訴訟の判決期日が3月25日から4月10日に変更となりました。私は原告弁護団事務局長を務めていますので、判決期日変更をお知らせするとともに、この住民訴訟のポイントについて記したいと思います。

 

 

変更後の判決期日:2020年4月10日(金)11時30分 東京地裁103法廷

 

1 汚染を考慮しない高い価格で高濃度の汚染地を購入

この住民訴訟は、東京都民である原告らが、都知事に対し、東京都が豊洲新市場予定地を購入した2011年当時都知事であった石原慎太郎氏を相手として土地取得額である約578億円の損害賠償を請求するように求めるものです。

石原元知事は、2011年3月、環境基準4万3千倍のベンゼンなど高濃度の汚染があることを知りながら、汚染のない土地としての価格(約578億円)で東京ガス等から土地(市場予定地全体の28.9%)を購入しました。

通常の不動産取引では、汚染地の価格が汚染対策費用分などを考慮して汚染がない場合よりも低い価額になります。

専門的にみると、不動産鑑定評価では土壌汚染の有無及びその程度は、土地の価格を形成する個別的要因になるとしています。具体的には、汚染地の適正価格は、汚染考慮外の価値から汚染対策費を差し引いたものになると考えられています。

 

    不動産取引における汚染地の適正価格の考え方

(適正な土地価格)=(汚染考慮外の価値)-(汚染対策費)

※その他に心理的嫌悪感等(Stigma)がマイナスに考慮される。

 

 

問題となっている約578億円の取得価格は、都財産価格審議会が「土壌汚染は考慮外」という評価条件で算出したものです。

これに対して、土地購入時点で汚染対策費用の見積もりは586億円(東京都が設置した技術会議による算定額)でした。このうち売主であり、かつ汚染原因者である東京ガスの負担は78億円だけです。その後、現実にかかった汚染対策費は大きく膨れ上がりますが、増加分も全て東京都の負担となっています。

東京都は、当初は東京ガスとの間で汚染考慮外の価格で買う合意があったと主張していましたが、裁判の途中でその主張を撤回しました。石原元知事側は、築地市場移転先は豊洲しか選択肢がなく、汚染考慮外の価格であっても都知事の裁量の範囲内だと主張しています。これに対して、原告は、築地市場の現地再整備という選択肢もあり、豊洲移転に固執して汚染考慮外の価格で購入する必要性はなかったと主張しています。

汚染地を汚染考慮外の高い価格で買うことが許されるか否か、この住民訴訟の大きな争点として裁判所の判断が注目されます。

 

2 石原元知事の法的な責任

民間の不動産取引であれば、土地価格は当事者間の交渉で決まり、原則として第三者がその価格について異論を述べることはできません。

しかし、東京都のような地方自治体は、適正な価格で取引を行わなければなりません。

なぜならば、地方自治体の財政は、税金をはじめとした公金で賄われているからです。地方自治法及び地方財政法は、公金の無駄遣いを明確に禁止しています。つまり、公金の無題使いは法律違反なのです。

豊洲市場用地が東京ガス工場跡地であり高濃度の汚染があったことを石原元知事は知っていました。裁判の過程で、汚染対策費用が586億円と算定されていたこと、このうち汚染原因者の東京ガスの負担が約80億円だけであることについて、石原元知事が報告を受けていたことが明らかになりました。

石原元知事側は、都庁幹部に直接の権限があり責任はなく、都庁幹部に対する指揮監督義務違反もなかったと主張しています。

たしかに、都知事には不動産取引に関して細かな専門的知識は求められません。しかし、汚染対策費用586億円のうち東京ガスが約80億円を負担、残りの約500億円を負担することを適切と思うのか、それとも都庁幹部に再検討を行わせるのかを一般常識に照らして判断する責任はあったはずです。民意で選ばれた行政のトップだからこそ、常識に照らしておかしいことはおかしいと止める責任があったのではないでしょうか。

都知事の法的な責任について、裁判所が如何なる判断をするのか注視すべきだと考えています。

 

3 判決期日を前に

石原元知事は、なぜ築地市場の現地再整備を行わなかったのか。なぜ深刻な汚染が指摘された東京ガス工場跡地(豊洲)を選択し、しかも汚染のない土地としての高い価格で用地を買い上げたのか。この裁判を通じて築地市場の豊洲移転問題の真相が明らかになり、公正かつ厳正な判決がなされるように期待したいと思います。

以上