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民泊サービスにおける規制改革公開ディスカッション

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平成28年3月14日、内閣府の規制改革会議が行った民泊サービスにおける規制改革に関する公開ディスカッションが行われました。

本日は、事務局からこれまでの経緯と「民泊サービスの推進に関する意見」(平成27年12月21日 規制改革会議)についての説明が、厚生労働省から「民泊サービス」のあり方に関する検討会の検討状況について報告がなされました。

そのうえで、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、一般社団法人日本旅館協会、一般社団法人日本ホテル協会、Airbnb Japan、株式会社百戦錬磨、一般社団法人新経済連盟から意見が述べられました。
同日配布された資料は、内閣府のホームページに掲載されています。
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/discussion/160314/gidai/agenda.html
その後、意見交換が行われ、以下のような意見が出されました。

 

1 近隣住民とのトラブル防止、テロ対策、感染症対策について

◇プラットフォーマーが近隣住民からのクレームに対応する窓口を作る必要があるのではないか。プラットフォーマーは、苦情が生じた場合、ホストやゲストに是正勧告し、是正されないのであればプラットフォームから排除するという仕組みが必要ではないか。また、プラットフォーマーがこのような役割を果たさない場合、プラットフォーマー自身を市場から退場させる仕組みが必要ではないか。そのために、プラットフォーマーについて許可制とすることも検討すべきではないか。
◇テロ対策、感染症対策としては、誰が貸し手と借り手なのかが明らかであることが絶対条件。ホストとゲストにプラットフォーマーを入れた三者で事件や感染症を未然に防ぐ仕組み作りが必要ではないか。
◇旅館、ホテルは、安全管理、衛生管理のノウハウを持っている。旅館やホテルが新たに民泊を行う人にノウハウを提供することは吝かでない。

 

2 規制の枠組みについて

◇日本における民泊の実体が明らかでない。実体を把握した上で議論をしないと噛み合わないのではないか。民泊の問題については官ではなく民であるプラットフォーマーが実体を把握しているのであるから、プラットフォーマーから情報提供されるべき。
◇旅館業法は専業で旅館等を経営する場合を念頭に置いており、個人が片手間に部屋を貸すことは想定していない。ホストに旅館業法を適用する方向で議論すべきではない。
◇シェアリングエコノミーの本質は、個人が、余らせている資産を業とはいえない範囲で共有することである。そのため、年間最大営業日数(例えば30日)を設けることも検討すべき。
◇関係法令や条例との関係に目配せした規制が必要ではないか。

 

3 民泊の類型について
◇家主不在の場合は、認めるべきではない。
◇まずは戸建てで家主が居住しているケースから始めて、様子を見て拡大していくのが良いのではないか。
◇家主が居住している物件でないと認められないとなると、シェアリングエコノミーの趣旨が没却されるのではないか。
◇管理組合が認めているのであれば、集合住宅において民泊を禁止する理由はないのではないか。
◇海外に居住している者が日本国内でホストになることは認めるべきでない。

 

4 プラットフォーマーの責任について
◇プラットフォームを提供している以上、実質的には民泊の仲介をしていることと同じである。プラットフォーマーの責任は従来よりも厳しく見ていくことが必要ではないか。
◇プラットフォーマーが、登録物件の違法性の有無を把握している必要がある。違反事例に対しては、プラットフォーマーにも責任を負わせることが必要ではないか。
◇外部不経済(近隣住民とのトラブル等)を出さないための義務は、本来ホストとゲストが負うべきであり、プラットフォーマーに過度な義務を負わせるべきではない。違法転貸については、民法の問題として処理されるべきである。
◇プラットフォーマーがホストに代わり税金を納める仕組みを作る必要があるのではないか。

 

5 その他
◇大田区の特区民泊の事案を今後の議論に活かすべき。大田区では、実験的に駅前のビジネスホテルに民泊のチェックイン、チェックアウトを依頼している。また、宿泊業界と手を組んで、実験的に家主不在の民泊も行っている。
◇旅館業者も積極的に民泊に参入すべきではないか。
以上
                                                                                                                                          (平成28年3月14日)