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第4回「民泊サービス」のあり方に関する検討会(1月12日) 傍聴レポート

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第4回「民泊サービス」のあり方に関する検討会が行われました。

今回は、規制改革会議の「民泊サービスの推進に関する意見」について内閣府規制改革推進室の担当者から説明があり、関係者からのヒアリングが行われました。その後、中間的な論点整理に向けた検討の方向性について意見交換が行われました。事務局から示された「これまでの議論を踏まえた検討の方向性(案)」は、下記のとおりです。

この方向性(案)では、総論として、民泊サービスに関する新たな制度体系を構築すべきだとしています。一方で、早急に取り組むべき課題として、旅館業法の簡易宿所の許可取得の促進を図る、家主不在のケースは旅館業法の認可対象とすべきなど、すでに行われている民泊サービスに対して現行法を適用して規制するという考え方が示されました。

今回の検討会では、民泊サービスの拡大のため規制緩和を目指す規制改革会議と既に行われている民泊サービスに現行法を適用して規制しながら新たな制度体系を構築するという検討会の姿勢の違いが明らかになったという印象です。規制改革会議とこの検討会の関係を含めて、民泊のルール作りはまだ方向性が見えない状況です。

 

 

「これまでの議論を踏まえた検討の方向性(案)」

(総論)
◯  「民泊サービス」に対する様々なニーズに応えつつ、宿泊者の安全性の確保、近隣住民とのトラブル防止などが適切に図られるよう、旅館業法等の現行制度における規制のあり方を見直しつつ、仲介事業者に対する規制を含めた制度体系を構築すべきではないか。

◯ 当面早急に取り組むべき課題と中期的な課題とを整理の上、早急に対応することが可能な課題については、規制改革実施計画に定められたスケジュールにとらわれずに、対応すべきではないか。

◯ 「民泊サービス」を一律に捉えるのではなく、ホスト(家主)がいるか・いないか、管理者がいるか・いないか、戸建てか共同住宅か、個人所有か法人所有か、など、その形態や特性に応じて、整理すべきではないか。

(早急に取り組むべき課題-現行制度の枠組みの中で対応が考えられること-)
◯ 現行制度の枠組みの中で対応できることとして、簡易宿所の枠組みを活用して、旅館業法の許可取得の促進を図るべきではないか。

◯ その際、自宅の一部等を活用して少人数の宿泊客を受け入れる「民泊サービス」においては、現行の客室面積の基準には必ずしも合理性があるとは考えられないことから、これを見直す方向で検討し、許可を取得しやすい環境を整えるべきではないか。

◯ 家主不在のケースにおいては、宿泊者の本人確認、緊急時の対応体制など一定の管理体制を確保することを前提に、旅館業法の許可対象とすべきではないか。

◯ 旅館業法の許可に当たり、関係法令だけでなく、賃貸借契約、管理規約(共同住宅の場合)に反していないことの確認を求めるべきではないか。

◯ 関連する制度における取扱いについても検討すべきではないか。

(中期的に検討すべき課題-現行制度の枠組みを超えた検討が必要なこと-)
◯ 家主居住で自宅の一部を貸し出すようなホームステイタイプの「民泊」については、旅館業法の許可の枠組みを適用する必要性・妥当性について、検討が必要ではないか。その際、海外の事例も参考にすべきではないか。関連する制度における取扱いについても、検討すべきではないか。

◯ 仲介事業者に対しては、一定の責務(規制)を貸すことが必要ではないか。その際、海外の事業者に対する規制の実効性を担保とすることが必要ではないか。また、旅行業法との関係を整理することが必要ではないか。

第4回「民泊サービス」のあり方に関する検討会 配布資料3より)